名盤の基礎情報
一度聴いたら忘れないノスタルジックな旋律で始まる1部、緩急に高低音程が激しく揺れ動く2,3部、疾走感溢れバイオリン技巧の贅を尽くしてフィナーレとなる4部と、最初から最後まで手に汗握るストーリーの展開のツィゴイネルワイゼンは不朽の名曲。
曲名ツィゴイネルワイゼンは、そもそもジプシー(ツィゴナー)の旋律を意味するドイツ語、”Zigeunerweisen”を意味し、スペイン出身の鬼才作曲家かつバイオリニストだったサラサーテ(1844~1908)により作曲され、バイオリン楽曲としてもトップレベルの知名度を誇る。
それ故、幾多の新旧バイオリニストが録音やコンサートで披露する楽曲であるが、このハイフェッツ黄金期のマスターピースを聴いてしまうと、他のどの演奏も練習レベルに聴こえてしまうような完成度を誇っている。
↓対象の演奏は#1〜4
名盤の基本情報
作曲者・曲名 | ツィゴイネルワイゼン |
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演奏形態 | バイオリン独奏曲 |
ソリスト | ヤッシャ・ハイフェッツ |
指揮者 | ウィリアム・スタインバーグ |
オーケストラ | RCAビクター交響楽団 |
録音年 | 1951 |
レーベル | RCA |
名盤チャート
名盤のポイント
1951年とハイフェッツ自身が油の乗っている時代の録音であることもあり、ビブラートや音の艶と密度、根本から先まで緩みなくメリハリの利いた運弓法(ボーイング)、左手の運指の正確無比さと、非の打ちどころがないレベルに到達している。
ハイフェッツの特徴のひとつ、オーケストラへ従属的な役割を求めるスタンス、俺の演奏に付いてこいと言わんばかりのソロを感じられる録音でもあり、レーベル(RCA)オーケストラで伴奏的役割を担う姿勢もあるのか、ハイフェッツはお構いなしに四方八方に振り回しながら弾き進める。
音程やリズムに異常な厳しさを持つハイフェッツであるが、時折音符をすっ飛ばしながら弾き進める箇所も垣間見れるが、この演奏レベルとなると、ミスも音楽芸術の一部であることを証明してくれるような演奏でもある。
一度この名盤を聴いたあとで他の演奏を聴いてみて欲しい。歴然とした違いに驚くはず。