名盤サマリー
ドイツ・ライプツィヒ生まれのメンデルスゾーンは、数ある作曲家の中でも経済的、社会的に恵まれ、非常に幸せな人生だったらしい。
幸福感や気品は彼の曲にも色濃く根差しており、このバイオリン協奏曲は彼の作品でも最も有名な曲のひとつ。短調ではありながらも感傷的ではない印象的な旋律は、一度は誰もが耳にしたことがあるはず。
バイオリニストにとって、この楽曲の演奏はマストといって過言ではなく、往古来今膨大な録音が遺っていることから名盤も数えきれないほどある。
その中でも、20世紀バイオリニストの頂点に君臨したハイフェッツの演奏をご紹介。
名盤の基本情報
作曲者・曲名 | メンデルスゾーン・バイオリン協奏曲ホ短調 |
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演奏形態 | バイオリン協奏曲 |
ソリスト | ヤッシャ・ハイフェッツ(vn) |
指揮者 | シャルル・ミュンシュ |
オーケストラ | ボストン交響楽団 |
録音年 | 1959 |
レーベル | SONY |
名盤チャート
名盤のポイント
第一楽章、ハイフェッツは冒頭の美しいメロディを観衆に詠い届ける甘美なところはなく、超辛口の表現と淡々としたスピードで弾き進める姿勢は、他の演奏家と一線を画する。
ハイフェッツ特有の冷たい音とあっさりとした表現が全面的に出る一方、耳を澄ませば「ウヮンウヮン」と唸りの濃いヴィブラート表現のある種のミスマッチが凄みを演出している。
フランス・ストラスブルグ(ドイツ国境付近の街)出身の名指揮者ミュンシュ率いるボストン交響楽団の、主張しすぎることなくも対等な掛け合いも素晴らしく、オーケストラを振り回しがちなハイフェッツとも相性の良い演奏を堪能することができる。