名盤のサマリー
バッハがクラヴィーア(鍵盤楽器)向けて作曲された名曲として、チェンバロやピアノ、一部はヴァイオリンへも編曲・演奏されている楽曲。バッハがケーテンからライプツィヒに移った際に、大学関係者や音楽愛好家との間で頻繁に開催された音楽鑑賞会で披露された楽曲と言われている。
ヴィヴァルディの協奏曲スタイルを踏襲し作曲されており、荘厳でダイナミック、メロディも分かりやすく鑑賞しやすい楽曲となっている。
バッハと聞いて語らずにはいられないのは、やはり奇才グレン・グールド(pf)。
グールドのノンレガート(ピアノにおいてはペダルを踏まずに音を響かせず、音と音を繋げない)奏法はキャッチーな印象で、他のピアニストには真似できない世界観となっている。
バーンスタイン指揮コロンビア交響楽団のバックは、グールドのそんな刺々しいピアノに丸みを与えるようなオケ裁きが半世紀以上経った今においても新鮮に聴こえる名盤。
録音について
作曲者・曲名 | J.S.バッハ・クラヴィーア協奏曲集(第1-6&7番) |
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演奏形態 | ピアノ協奏曲 |
ソリスト | グレン・グールド(pf) |
指揮者 | レナード・バーンスタイン、ゴルシュマン |
オーケストラ/伴奏 | コロンビア交響楽団 |
録音年 | 1957 |
レーベル | SONY |
名盤チャート
名盤ポイント
どの楽曲においても斜め上からの独自のピアニズムを展開するグレン・グールド。意思を持ったオルゴールのような音に、感傷的に訴えかけてくるような箇所は一切ない、グールドの突き抜けた世界観はこの協奏曲名盤においても同様。
ピアニストを目指す音大学生であれば一度は真似をしたくなるのかも知れないが、踏み入れてはいけないような悪魔的な魅力がある(それはバイオリンのハイフェッツも同じ)。
この録音からは、どことなくコンサートでは聴けそうもない夢心地な印象を個人的に受けた。
例えるならば、新進気鋭シェフのフレンチコースを味わっているようで、創造的な素材や独自の調理法を打ち出すグールド、それを受けてシェフの意向にぴったりとマッチするソースや火加減、サーブ時間までを丁寧に計算して提供するバーンスタイン率いるコロンビア交響楽団。
そんな奇才グールドの個性としっかりとマッチする協奏曲を堪能できる名盤となっている。