名盤のサマリー
後期ロマン派時代に活躍したドイツのブラームス(1833-1897)による作品。
バイオリンとチェロを主役に据える、珍しい構成の二重協奏曲となっており、ブラームスの綿密な楽曲構成と独奏楽器両者のかけあいにより、奥行きと重厚感のある骨太な楽曲となっている。
作曲年は1887年とブラームス晩年期の作品で協奏曲はこれが最後の作品。
様々な巨匠の録音も多く、どれも甲乙つけ難い名盤が多いが、今回ご紹介させて頂くのは、ロシア大巨匠オイストラフ(vn)、ロストロポーヴィチ(vc)がタッグを組んだ名演。
また、鬼軍曹指揮者セル率いるクリーヴランド管弦楽団も、音符に忠実でオーソドックスな演奏を心掛けながらも、表現豊かに歌いあげるソリスト達を、重厚かつクリアな輪郭で纏め上げる重要なピースとなっている。
録音について
作曲者・曲名 | ブラームス・バイオリンとチェロのための二重協奏曲 |
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演奏形態 | バイオリン・チェロ協奏曲 |
ソリスト | オイストラフ(vn) / ロストロポーヴィチ(vc) |
指揮者 | ジョージ・セル |
オーケストラ/伴奏 | クリーヴランド管弦楽団 |
録音年 | 1969 |
レーベル | Warner music |
名盤チャート
名盤ポイント
20世紀に活躍したロシア系演奏家は、当時の政治的な環境も影響し、背筋がピンと張るような緊張感を持った印象を与えるように感じる。
オイストラフとロストロポーヴィチの両者からは、一音が発せられてから次の音に繋がるまで気を抜けない。洒落っ気はないと言ってしまえばそれまでだが、演奏に対して真摯な態度を終始感じることが出来る。
とて、ハイフェッツとピアティゴルスキーほどの風神雷神登場と言わんばかりのヘビー級名盤とは違い、ブラームス音楽の重厚さと哀愁を誘うメロディ、楽器としてのバイオリン、チェロとそれを補完する分厚いオーケストラをバランス良く堪能できる名盤だと思う。