みなさんこんにちは、アビクラです。
現在世界中で活躍するヴァイオリニストの中でも現代最高と評されるユダヤ系アメリカ人ヴァイオリニストである「パールマン」。
2021年現在 76歳という高齢ながらも、今も現役でコンサートやメディア、教育活動でクラシック界において多大な貢献をされている名演奏家であり教育者です。
パールマンは音色、演奏技術、音楽表現のバランスが非常に優れ、万人に愛される演奏が特徴です。こちらの記事ではパールマンについて生い立ちや演奏の特徴をご紹介したいと思います。
パールマンってどんな人?
生い立ちの前に触れておきたいのはパールマンの個性。
切れ味鋭い熟練した演奏テクニック、温かく拡がりのある音色は言うまでもなく素晴らしいのですが、ステージ上や多くのパブリックでの演奏(ホワイトハウス、セサミストリート、MLBなど)で垣間見るパールマンの人間的なユーモアは、華ある演奏に個性を添えていると思います。
聴衆がパールマンに惹きつけられ、ホール全体に一体感が生まれて一瞬でファンになってしまう。
いちヴァイオリニストという域を超えた素晴らしいパーソナリティが私は大好きです。
パールマンの経歴
パールマンはイスラエルで1945年生まれのユダヤ人です(両親はポーランド系)。
3歳でヴァイオリンを始めるが、4歳でポリオに罹患してしまい、両足麻痺となってしまいます。
足が不自由となってしまうことで、バランス感覚や踏ん張りの点でヴァイオリン演奏にも大きな影響があったとは思いますが、断念することなくヴァイオリンの勉強を続け、テルアビブ音楽アカデミーで8年間学んでいます。
その後、著名なアメリカのヴァイオリニストであるアイザックスターンに高い評価を得て渡米しました。
13歳の時にはアメリカのテレビ番組「エドサリヴァンショー」 に招待され、メンデルスゾーン協奏曲等を演奏しアメリカ中の視聴者を驚愕させました。
このチャンスもあり母親とともにニューヨーク移住を決め、世界的にも有名な音楽学校であるジュリアード音楽院に入学。18歳となる1963年にはナショナルオーケストラルアソシエーションとの共演で華々しいニューヨークデビューを果たしています。
彗星の如く世界に知名度の広がったパールマンのキャリアは順風満帆で、当時第一線での活躍をする多くのレジェンド演奏家(バレンボイム、ズカーマン、デュプレ、アルゲリッチ等)との交流も深め、ソリストだけでなく室内楽へも活躍の場を広げました。
1966年から開始したレコーディングによってグラミー賞やエミー賞を多く獲得、1993年に公開された映画「シンドラーのリスト」では主題を演奏し注目を浴びました。
またクラシックの域を超え、ジャズ、ポピュラー音楽、故郷のイスラエルの民族音楽も広く演奏をしており、近年ではテレビ番組セサミストリートへの出演もされています。
パールマンの演奏の特徴
幼少期のポリオを患ってしまった影響でパールマンは座奏ですが、下半身にハンディキャップがありながらも、それを全く感じさせない技術と音圧は凄いの一言。
また演奏の映像をみるとよりわかるのですが、右手、左手の使い方が非常にしなやかです。
弓を持つ右手の肘の動きは最小限、手首が非常に柔らかく力が抜けているように運弓しています。
左手はネックを親指と人差し指の谷間に深く当て、(サムネにあるような)太い指の腹の面積を厚く当て音程を取り、左手全体でビブラートをかける演奏スタイルを見る事が出来ます。
これにより、スローテンポ曲では温かく芳醇な響きが生まれ、高度な技巧曲ではずっしりとした運指で安定したパールマンサウンドの演奏が生まれています。
パールマンのようなバランス良く力の抜けた奏法だと、ここぞという時に自然と踏ん張りが効きます。
大音量のオーケストラにも負けないよう音圧を上げたり、余計な力みをせずに感情を音に自由自在に乗せていることが感じられるため、聴衆の琴線に触れるような演奏が出来るのだと思います。
パールマンの言葉
おまけですが、パールマンの素晴らしい人間味が感じられる言葉。
オバマ前大統領は2015年の祝賀会でパールマンについて述べており、
「パールマンにどんな音が好きなのか?と聞いたら、玉ねぎを炒める音だって」
現代最高の音楽家の好きな音はたまねぎを炒める音(笑)。なんか良いですね。人間が本能的に求めている音というか、心地よく感じるサウンドって立ち返ってそういう事なのかなあと。忙しい現代に忘れかけているようなものを教えてくれたような気がします。
まとめ
生まれながら天賦の才能を持つギフテッドとして、今も世界の第一線で活躍する現代最高ヴァイオリニスト。
才能に溢れ結果もズバ抜けている天才は、ちょっと浮世離れしていたり近付き難い存在と思いきや、パールマンはとてもユーモアと人間味に溢れ、オバマ前大統領の言うように世界を少しだけ美しくする事が出来る人格者。
パールマンはハートの真ん中に触れてくる素晴らしい「音楽」を創れる真の「カリスマ」だと思います。
good classical music for your lifestyle.
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